多くの優れた特性を備えた鹿革ですが、小判で傷が多いため歩留まりが悪いという難点も持ち合わせています。 このブロックパッチワークには、革を最後まで使いきること、手をかけることによって革の難点を克服し、質の良い魅力のあるものに、という思いを込めました。 パーツを連ねる数を増やすと、編みこんだような佇まいになるパッチワーク。パーツごとに漉き方を工夫し、縫い合わせて交互に折るという鹿革の柔らかさや特性を活かした縫製仕様で、幾度の縫い重ねによる縫い代によって適度な保形の効果もあります。 ポーチは使い勝手を考慮した内装と、着脱可能な牛革の丸編みロープを付けました。 本体には独自に染色加工をしたヌメ鹿革を使用しました。柿渋で数回染め上げた後に、洗いをかけ乾燥させ、オイルを含ませ手揉みしています。 濃淡や刷毛柄の組み合わせでそれぞれに印象が違い、次第にツヤが出て味わい深く変化していきます。