兄は世界中で仕事をする建築家でした。私が製靴を習い始め採寸した時の要望は着脱しやすいことでした。常に斬新な服を着て、大学や現場、山の中…と活動する兄は東北の震災復興を支援するアーキエイドの中心にもいました。そんな兄を病が襲いました。手術を受けリハビリをしながら現場に向かう兄には介護靴の要素を持つ靴がよいと考えました。介護靴は布製で冬は寒く足の先が痛いとの父の声を生かし、できるだけソフトな牛革を使い且つファッションを楽しめるデザインを目指しました。兄、小嶋一浩は空へ旅立ちましたが、病気やケガと共に生きている人に元気を与えられるような靴になればと願っています。