革靴は、履き込むほど傷やクラックが生まれ、やがて寿命を迎えることが多い。本作は、その「壊れること」をあらかじめデザインに組み込んだ革靴である。傷を隠して元に戻すのではなく、損傷した革の隙間から銀革が覗くことで、履いてきた時間を新たな表情として残す。破損し易いバンプからつま先のアッパーとライニングの間に仕込んだ銀革により、表面の革を脱皮することもできる構造を試みた。ソールにも銀を配し、靴全体の意匠をつなげている。壊れたら終わりではなく、壊れることを経て次の姿へ変わる。修理の先にある、革靴の新しい寿命を提案する。