革と革靴好きが高じて、靴づくりの道へ進んだ自分自身の原点に重ね合わせ、「革が好きな人が、革の経年変化を最大限愉しめ味わえる、革靴。」をコンセプトにした作品です。
革素材の中で、皮革素地の良し悪しや、経年変化が最もわかりやすい「生成りのヌメ革」を使っています。製作過程でも変化が起こりやすく、例えばハンマーなどの金属に触れると、タンニンが鉄分と反応して革が黒ずむことがあります。製作の至るところで注意が必要であり、製靴には扱いが難しい素材です。
それでも、個人的に好む「ミニマルさ」や「潔さ」をも感じる「生成りのヌメ革」で、革靴を作って届けたい。長年抱いていた想いも実現するため、今回挑戦しました。
一昔前まで市場では、大量生産や大企業の、規模の経済が優位でしたが、インターネットの発展で、状況が変化し、今では多様で細やかなニーズが求められる時代に入ったことを感じます。
生成りのヌメ革は、ロットや部位による個体差が出やすかったり、素材時点で経年変化しやすかったりと、製作や保管面で細心の管理が必要です。量産工場では扱いにくい、ハンドメイド製作の個人だからこそできるプロダクトを考えて製作しました。