服を作る時、人の体に合わせて作る。動物の皮を使って服を作る時も、人の体に合わせて作る。素材に問わず、基本的に服の根本的な構造は変わらない。
せっかく動物の皮を使うなら、その構造にその動物の形を反映したい。
革の歴史は古く、人と自然がもっと親密だったときから革を衣服として利用してきた。
動物と人体が融合するような服なら、違った形でかつてのように自然と一体化できるのではないか。
私は今回、牛革を利用して制作した。そのため少し広い目でみて、蹄をもつ動物の形を意識した。
彼らと人体では骨格が全く異なるので、人体の可動域や着心地に影響をださず、それでいて彼らの形を再現するような自然な融合を目指した。
革の素材を活かすという既存の考え方は、しなやかさや、丈夫さなど、加工済みの革の素材特性に対して用いられてきたが、本作品は革が加工される前の動物だった過程の部分を、デザインの素材として活かされてもいいと思った。
多種多様な動物の皮を革に加工して利用している現在、元の動物がなんだったのかを服の個性としてアピールしたほうが、もっとこの多様性を楽しめるのではないだろうか。