床革や漉き落ちした革を用いた造形作品。平家物語を奏でる琵琶法師の無常感と、床革の醸す表情を重ね合わせることで、一層の雰囲気を纏わせた。ベースに用いたのは、姫路に伝わる伝統的なめし手法である、市川での川漬け(脱毛工程)から行い、塩と菜種油のみで仕上げた白なめし革を使用。
世界にある「素材」の中で、革は唯一生命体から生み出された存在。太古から暮らしに寄り添ってきた動物たちを生かしきる。そんな思いからこの「なめし」というものが生まれたのだろう。現代はただの素材としての革という認識だが、本質は、そこに生きた生命が在ったということ。それを再認識するため、人型を形成する。鞣すとは、御霊鎮めであり、創造は、御霊分けである。
そんな思いで、これからも革人「レザンチュ」を生む。