作品はいつも不自由な中から生まれる。
機械がない。技術がない。材料がない。
右足を作る際にでた床革や裏面を使い左足を作りました。1パーツづつ型を取りながら隙間なくパズルのようにはめ込みジグザグ縫いですべて繋ぎ合わせました。
縫い目もデザインの1部です。
仕上げ方やステッチの色など左右で沢山の「裏と表」を表現してあります。
白と黒の使い方にも注目してください。
姫路レザーの「ティーポ」はタンニン鞣しでありながら床面までが綺麗な色で染まっている為、何重にも重ねソールにしました。
コバも靴底の切り込みもミルフィーユのように層になった断面が鮮やかに見えます。
捨てられてしまう細かい端材を隙間なくパッチワークで繋ぎ合わせただけではなく、
右足で作成した革を厚み調整した際にでた床革に強度を付けて左足を作成しました。
制作で出るソールのゴムの端材も丸くくり抜きタコの吸盤のように取り付けることでグリップ機能も可能にしています。
この靴を作ることで救われる革はごくわずかな量ですが、世の中に出すことで少しでも考えるきっかけになってもらえると嬉しいです。