私は、骨格標本を作るボランティアをしている。
動物の毛皮を剥いで、内臓を出して、骨を取り出す。
死因は様々だが、駆除も多い。
彼らの住みか「山」と、解体された動物へ畏敬の念を込め「鹿」をコンセプトにした。
植物タンニン鞣しの牛革一枚から、山のモチーフが浮かび上がるように型紙作りをした。
また、バッグの内側には地元で駆除された鹿の毛皮を使っている。
皮を素材として使う自分への疑問、有り余るほどの革という素材の面白さ、その向こうにある動物の暮らし、それらをふと感じるような違和感のあるデザインを模索した。
鞄の中に手を入れるたび、福井で生きた雌鹿の毛皮の手触りを、感じていただければと思う。
福井では、鹿の駆除が多く行われているが、その一部が精肉、多くは処分されている。
皮に関しては、ほとんどが廃棄されているのが現状だ。
少しでもそこに別の流れが作れないか考えている中、地元の猟師さんから剥ぎたての鹿皮をもらう機会があった。
その皮をなめしに出し、今回使用している。
また、牛革に関しても植物タンニン鞣しの皮を使用し、環境に配慮した。