WINNER

2019年 受賞作品

WINNER

[ 2019年 受賞作品 ]

Japan Leather Award 2019 グランプリ

Japan Leather Award 2019 グランプリ
(フットウェア部門 ベストデザイン賞)

吉田 真也
(神戸医療福祉専門学校三田校)

Japan Leather Award 2019 グランプリ フットウェア部門 ベストデザイン賞 吉田 真也(神戸医療福祉専門学校三田校)

ユニバーサルデザインの靴を考えました。足に問題のある方は左の靴のように足の底から足首にかけてテーピングのようにベルトを巻くことで足首を固定し、しっかりした履き心地を。足に問題のない方はベルトを外して履いてもいいですし、右の靴のようにベルトをファッションとして足首に巻いてもらうのもいいかもしれません。 革は害獣駆除されたシカの革を使用。とても柔らかく肌当たりが良いので老若男女問わず履きやすい靴になっています。

<審査員長 総評>
ユニバーサルデザインというと、どうしても使い心地を重視するあまりネガティブな印象になりがちですが、とてもポジティブなデザインにまとめた点が審査委員全員評価したところです。シカ革の柔らかさも、カッコイイ見た目だけでなく触覚デザインとして作用し、やさしい靴の仕立てにつながっている。おめでとうございます。

各部門・各賞

フットウェア部門 フューチャーデザイン賞 生駒 朋彦(カワノ株式会社)

フットウェア部門 フューチャーデザイン賞
生駒 朋彦
(カワノ株式会社)

レザー表面に均一に加工されたダイア状のパターンが折り畳まれ、または伸びる事によって、1枚のレザーがあらゆるラストや足に合わせ変形するように靴になる設計思想。
靴の加工成型時と靴を履いた時に生じる立体的な幾何学模様の有機的な変化は今までにないインパクト。
革の表面加工を装飾としてだけではなく構造的に機能させる新しい発想のデザイン。

<審査員長 総評>
ダイヤ状の立体パターンが美しく、かつ快適な履き心地、脱ぎ履きすることや歩くことで変化する靴の表情が魅力的です。また立体パターンによって足との間に微妙な隅間が生まれ蒸れも緩和、機能性の向上も期待できます。タイトルが伝える変化する靴の造形は、履く人の気持ちをも変えることでしょう。

バッグ部門 ベストデザイン賞 井戸田 和之(株式会社 村瀬鞄行)

バッグ部門 ベストデザイン賞
井戸田 和之
(株式会社 村瀬鞄行)

文明が進むほど均一化され、時に入れるべきものすら電子化されて無くなっていく鞄の世界で、時代と逆行したハンドメイドの技術や、生きた革を使い、時が経つのすら楽しいと思える鞄を製作。
手縫いやひだ寄せなどの技術、シルエットの美しさ、背おいやすさはランドセルの良さを活かしながら、ランドセルの記号的な意匠は廃し、よりコンセプトが際立つ形づくりを目指した。
かぶせの穴は光を通し、使うほどに牛の模様が浮かび上がる。

<審査員長 総評>
持ち物のサイズアップにともない軽量化がコンセプトに掲げられているランドセル市場は、ここ数年、数字に表れる機能面のみが重視され美しさをおいてきた感があります。そうした中にあり「時が経つのすら楽しいと思える鞄〜」を目指したこの作品は、使う人(子供も大人も)への愛を感じるとても美しいランドセルです。

バッグ部門 ベストデザイン賞 村林 麗子(株式会社 吉田)

バッグ部門 ベストデザイン賞
村林 麗子
(株式会社 吉田)

フォーマルなハンドバックのイメージを壊さず、ラフに物の出し入れができるデザインにしました。
金具パーツが少ないデザインで軽く、外側は厚みと張りのある革でしっかりと荷物を支えて持つことが出来ます。内側は手触りの良いラム革を使い巾着の様に口開きが広く物の出し入れがし易くまた、収納時は口元を絞ることで中の物が綺麗に隠せる構造にしました。普段は革鞄が重くて使いづらいと思っている方に使って頂きたい鞄です。

<審査員長 総評>
使いやすさは美しさとは反比例するという誤解を見事に解決した秀作です。ポイントは2つの革(厚い革と手ざわりの良いラム革)による機能性と金具を使わないことによる軽さです。特に内側巾着のルーズさ(和)と外の剛性(洋)の違和感のない調和は、使う人の気持ちに終始寄り添った見事なデザインと言えます。

バッグ部門 フューチャーデザイン賞 矢内 徹(株式会社 吉田)

バッグ部門 フューチャーデザイン賞
矢内 徹
(株式会社 吉田)

内装の巾着は柔らかいシープスキンを使い、裏地の無いシンプルなデザインではありますが、8ヶ所ものポケットがありつつ、床面の上質さも感じてもらえるようにしました。
それを覆うようにクロシェット型キーホルダーのデザインをビッグサイズに落とし込みました。
革は肉厚なサドルレザーを使い、自立しやすく、雨や汚れを防いでくれるカバーの役割をします。
アイキャッチなシーンではクロシェットを被せ、カジュアルなシーンでは巾着だけで持つこともできます。

<審査員長 総評>
通常キーホルダーのデザインで見られるクロシェット型を大型化し、バッグサイズにした造形センスは見事です。この作品の魅力は、使いやすさなどではなく、持つ喜び。サドルレザーとシープスキンという垂涎レザーの対比に作者のプライドを感じます。

バッグ部門 フューチャーデザイン 小林 剛(株式会社 吉田)

バッグ部門 フューチャーデザイン
小林 剛
(株式会社 吉田)

マウテンバックパックをモチーフに迫力のあるレザーバックパックを作りました。革のようなシボ柄のポリウレタン製ファスナーに合わせて、防水革(スコッチガード)に型押しを施し、黒みを合わせてソフトに仕上げました。背負った際に、荷物が背中に当たらない様に樹脂板にメッシュを取り付け、通気性と背中の保護の役目を持たせました。又、ネオンカラーのコバ色と内装の色を合わせて視認性を持たせ、デザインポイントにしました。

<審査員長 総評>
この体積でこの軽さの革鞄はあまりみたことがありません。持ってびっくり目から鱗です。ファスナーと防水革が同化し媚びない美しさを醸し出しています。この鞄の誕生の背後には、もしかすると旅行者のほぼ全員が使う、車輪付きキャリーケースに対するアンチな思いが潜んでいるのかもしれません。

フリー ベストデザイン賞 坂崎 匠(Arti)

フリー ベストデザイン賞
坂崎 匠
(Arti)

本棚の隙間に、棚や箪笥の上に腰掛けていたら、ちょっと楽しいかもしれない

皮革をより身近に、生活空間にも取り入れて貰えるように、人形を作りました。
天然皮革の持つしなやかさ、柔らかく暖かな風合いを生かす為、接着や縫製はせず、厚みのあるヌメ革に切り込みやビス留めで仕上げました。

<審査員長 総評>
革の材料特性をいかした無理のない造形が、美しい人形作品です。ヌメ革の色、質感とクールなリベットがアンマッチのようでいて魅力に繋がっています。老若男女、大人でも子供でもギフトとして喜ばれる商品力を持っていると評価されました。

学生部門 最優秀賞 藤田 れな(兵庫県立姫路工業高等学校 デザイン科)

学生部門 最優秀賞
藤田 れな
(兵庫県立姫路工業高等学校 デザイン科)

猫は本当は桃太郎について行きたかった。親から子へ語り継がれる昔話に、猫が登場するメジャーな話が全くない。ネコもそういうメジャーな話に出演しないといけないと焦っていた。今の猫ブームにあやかって、12支に入れなかったことに同情をかい、なんとか入って、寅柄パンツに牛の角をはやした鬼、丑寅の真逆の方角にいる申、酉、戌、その間に猫も入れてもらえれば、桃太郎について行ける。猫も永遠に語り継がれる。武器に猫じゃらしを持っていこうとしたが、母猫に「あんた、そんなもんで退治できるかいな!」と言われ置いてきました。所詮は猫。しかし何かをしたくてチャンスを逃すまいとするひたむきな姿を皮革により形にしました。

<審査員長 総評>
作品コンセプトのコメントがユーモアとしっかりとした物語を持っていて、素晴らしい。「〜何かをしたくてチャンスを逃すまいとするひたむきな姿」を猫の造形にも、作者の心の内にも感じられました。それを高校生とは思えない作り込みが証明しています。

学生部門 最優秀賞 王 廷佳(文化服装学院)

学生部門 最優秀賞
王 廷佳
(文化服装学院)

蛹は羽化前の形態で落ち着いた印象があり、色は冬を越え枯枝になった茶色の蛹をイメージしたデザインにしました。
バッグ胴面のパターンは蛹の模様からイメージを得てストライプで表現し、胴面の丸みは蛹の形を参考にしました。このパターンは胴面と底が一体となったパターンになります。

<審査員長 総評>
非対称(アシンメトリー)の造形ながら、奇をてらった感じは全くなく、むしろ現代の都市の風景に同化するデザインがとても素晴らしい。四角張った書類やパソコンだけを持つのではなく、遊び心を常にモチハコブ。そんな作者のメッセージが感じ取れ、豊かな気持ちになるカバンです。

特別賞 中山 智介(銀職庵水主)

特別賞
中山 智介
(銀職庵水主)

レザーの可能性を追求し、斬新かつ技の込められた作品をとおして楽しみながらレザーの魅力を知って頂きたい。
その最新作が『天球将棋』です。

誰もが知っていて一度は遊んでみた事のある将棋。
しかし、ただレザーで従来の将棋盤と駒を作っても、触ってみたくなるほどのインパクトはあたえられない。
そこで従来の9×9マスの平面的将棋盤を『球体状』にするとどうなるか。
しかもそれを『レザーのみ』で作れたら...
積革の技法を応用し、各部の形状やサイズ感も工夫することで、子供から大人まで誰もが触れて遊んでみたくなるものになりました。
飾り金具は全て真鍮無垢材を採用し、ベジタブルタンニン鞣しの牛革と共に美しく経年変化するよう、置物としての審美性も探究しました。

<審査員長 総評>
レザーの可能性を追求する姿勢が作品の隅々にあらわれています。木材では適さない球体の将棋を皮革の特性を生かし発想。作者の囚われない創作活動は皮革業界のみならず、ものづくりに携わる人間にとって大いに参考になります。審査会では難しいのですが、この天球将棋の面白さが伝わる何か資料などあると、もっと良かった気がします。

審査員賞

<長濱 雅彦選> 西尾 陽(リーガルコーポレーション)

<長濱 雅彦選>
西尾 陽 (リーガルコーポレーション)

<選者コメント>
“ジェンダーフリーの革靴”このブームの火付け役となる可能性を感じるナチュラルなデザインを評価しました。形と色ともにすごく吟味されてつくられていることが分かります。
男女平等の社会の波は、これから我々の生活道具のデザインを大きく変えていくことでしょう。スニーカーやジーンズではあたり前になったファッションの世界観を皮革の業界も意識的に取り込み、新しい商品開発につなげていただきたいと思います。

<阿部 浩選> 細田 公一(個人)

<阿部 浩選>
細田 公一 (個人)

<選者コメント>
鮫革のシューズ、非常に注目しています。
昨今、使われることがあまりなかったが、一部の靴好き達は探している素材です。
柔軟な履き心地を味わいたいので、ドレスシューズにもトライしてほしいです。私個人としては茶系が欲しいな!シャークスキンでシャークソール
販売出来るといいですね。

<天津 憂選選> 小山 泰雅(学校法人水野学園 ヒコ・みづのジュエリーカレッジ)

<天津 憂選>
小山 泰雅 (学校法人水野学園 ヒコ・みづのジュエリーカレッジ)

<選者コメント>
インスピレーションを表現する最適のデザイン!
やりたい事、見せたい事が明確。
バランスも良く学生ポクない、無駄のなさ!
この感性で学生の強みである、他にはない挑戦をしていただきたい。

<伊藤 瞳選> 宇佐美 清香(兵庫県立姫路工業高等学校 デザイン科)

<伊藤 瞳選>
宇佐美 清香 (兵庫県立姫路工業高等学校 デザイン科)

<選者コメント>
まず、一目で上手なのが伝わってきます。
昨年からの成長ぶりに、審査員一同驚愕いたしました。
全体の世界観に、既存の商品にはない自由さがあり、それをデザインとして落とし込みできているところがすばらしい!!!
そのまっすぐな発想力をこのままどうか生かしていってください。
サイドは肩ストラップはなく、リボンで仕上げてあるのが、ぜいたくでかわいい。
カラーリング、ビジュー。。。とにかくすべてがかわいくて、女性審査員も“欲しい!”との声が相次ぎました。ぜひぜひ、今後とも頑張ってください!

<有働 幸司選> 一瀬 美月(個人)

<有働 幸司選>
一瀬 美月 (個人)

<選者コメント>
仕上がりが“ジャパニーズモダン”なところが良い。
素材の選定、カラーバランス、ファルムが日本的であるが古く感じない。
作りに関しても、デザイン、素材を活かしたプロダクトに完成されていて、すぐにでも商品化されてもいいと思う。

<鎌倉 泰子選> 後藤 優太(個人)

<鎌倉 泰子選>
後藤 優太 (個人)

<選者コメント>
個人的にもレザーのバッグの底部にはいつも気を使っていました。それがこういった形で見られた事は嬉しいし、素晴らしいと思います。広範囲にもかかわらずとってもきれいだと思いました。
トートバッグそのものには実は飽きていたのですが、レザーで作った事に加えて、汚れなどに気を使いすぎず革の経年変化が楽しめる素材を選んだところもよいと思いました。ハンドルの長さを変えられる事に後で気付いたのですが、機能がデザインに完全に吸収されていてとても良いです。逆三角形にならないのはすぐにわかり、素材のツヤと相まって視覚的にも大成功だと思います。是非使ってみたいです!お疲れ様でした。

<佐藤 直人選> 前田 七虹(兵庫県立姫路工業高等学校 デザイン科)

<佐藤 直人選>
前田 七虹 (兵庫県立姫路工業高等学校 デザイン科)

<選者コメント>
現在の高齢化社会に向けたコミュニケーションツールという発想でかつユーモアがあります。
そして作者のコンセプトの一文『シニアの方が元気になることで社会も元気になる。』に心打たれました。
社会に出るとデザイン発想において商業的な方向に舵を切ってしまいがちになります。
今後も自由という大切な何かを失わずに成長する事を願います。

<橋本 太一郎選> 川嶋 望愛(兵庫県立姫路工業高等学校 デザイン科)

<橋本 太一郎選>
川嶋 望愛 (兵庫県立姫路工業高等学校 デザイン科)

<選者コメント>
「有機体」とゆうコンセプトを物理的にも軽く、
カラーリングの白も軽いイメージに持ち手のクッション性も軽くやわらかい
難しくなりがちなコンセプトをバッグで必要な「軽さ」と共に造形力センスが高い次元で融合しているバランス感が素晴らしい!
洋装にも和装にもスタイリングし易いシルエットもコーディネートに取り入れ易く、身につける人がついつい楽しくなりそうなフォルムも◎。

<矢口 真弓選> 小礒 晃(個人)

<矢口 真弓選>
小礒 晃 (個人)

<選者コメント>
発想、造形、機能、用途全てにおいて総合点◎
刺し子をミシンとハンドでハイブリッドに形成し、持ち屋の利点を生かしている。これは市場プライスも考えての事と見受けられる。(実際想定している上代を伺いたい!)
内側のポケット仕様もていねいな作り。自立する構造はサイドのフォルムにやわらかく形成されていて、とってもスマートにみえる。シリーズでスモールレザーまで構成出来そう。
まだまだ、デザインの着想が期待できます。楽しみ!!

<吉田 けえな選> 小田 涼二(個人)

<吉田 けえな選>
小田 涼二 (個人)

<選者コメント>
作品コンセプトにもあるように、若々しさを感じるデザイン。PERFUMEをコンセプトにしているように、どこか香水瓶を思わせるような、テンションのあがる、ファッションを楽しむ気持ちを思い出させてくれるデザインだと感じました。ただ、アクリルを持ち手にしても使えると説明にはありましたが、長時間持つには改良が必要と感じられる点が、ベストデザイン賞には少し及ばなかったかと思います。今後、さらなる改良を加えられたら、商品として十分に戦っていけると思います。今後に期待しています。

一般社団法人 日本皮革産業連合会(JLIA)

Copyright © JLIA. All Rights Reserved.

<選者コメント>

<選者コメント>

<選者コメント>